トマス・アクィナス 君主の統治について―謹んでキプロス王に捧げる (岩波文庫) を読んで
君主の統治について―謹んでキプロス王に捧げる (岩波文庫)
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トマス アクィナス 岩波書店 2009-09-16
大著『神学大全』で知られる盛期スコラ学の代表的神学者トマス・アクィナスの政治思想論文"De Regno Ad Regem Cypri"の全訳。あるべき君主像、統治の形態などを、伝統的な「君主の鑑」の文芸ジャンルの体裁に則って論じる。クセノフォン『キュロスの教育』からマキアヴェッリ『君主論』にいたる帝王学の系譜のなかでも最も著名なものの一つで、中世政治思想の特質のみならず、トマス思想全般の理解にも不可欠の書。
神学者による
政治思想の本は斬新さがあった。
民主制とか王政とか
いまの感覚からいえば
民主制は正義であり
王政は悪だという先入観がある。
しかし、神学者の立場から見ると
そうでもない。
王の地位が神様から与えられたものだったり
王がキリスト教徒であった場合などをみると
徳のある人が王ならば最高の政治ができる。
トマス・アクィナスは
理性と徳ということをよく言われる。
王も例外ではない。
王が理性的であり人民のことを思うなら
それが徳へとつながる、
しかし、王が僭主(せんしゅ)なら
最悪となる。
理性的であり徳であることは
なにも王だけでなく
人民にも求められるのである。