誤謬日記

祈れ、働け、学べ。

フランケンシュタインの誘惑「“いのち”の優劣 ナチス 知られざる科学者」 を見て

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科学史に埋もれた闇の事件簿。今回取り上げるのはナチス・ドイツが行った人間の「淘汰」。障害者やユダヤ人ら600万人以上が犠牲となった。その科学的根拠を作り上げた中心人物でありながら、ほとんど知られてこなかった科学者がいる。優秀な人間にのみ存在価値を認める「優生学」を信奉、ユダヤ人を特定する方法を研究し人種鑑定に携わった。弟子を使って強制収容所から大量の血液を送らせた。謎の科学者の、戦慄の人生に迫る!

 

1月26日は相模原の事件から

半年たった日なので

この番組内容をやったんだと思える。

 

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ヒトラーの主治医

カール・ブラント、障害者を安楽死させる計画を企て

戦後に死刑判決を受ける。

 

精神医学者

カール・シュナイダー、精神疾患の人の解剖を繰り返し

戦後に逮捕され、自殺。 

 

アウシュビッツの医師

ヨーゼフ・メンゲレ、人々の標本を作り

戦後、逃亡し逮捕に怯える日々。

 

人類遺伝学者

オトマール・フォン・フェアシュアー。

戦後も

大学教授として君臨し続けた男。

 

今回の番組は

このフェアシュアーに焦点を当てている。

 

1896年

ドイツの貴族家庭の家で生まれた。

大学で医学を学び

優生学に夢中になっていった。

 

優生学は当時ブームであった。

ダーウィン種の起源があったからである。

 

劣った生物は自然淘汰されていく

それを人為的に淘汰していくことを

優生学という。

 

フェアシュアーは

ドイツ民族の健康を守ること。

病気や障害を遺伝で防ぎたい。

という思いから

どんどん優生学を学んでいく。

 

最初の研究は双子である。 

一卵性と二卵性を比べることにより

見た目の遺伝がどのようにかかわるのか?

どっちが病気になりやすいのか?

 

次の研究対象は、当時流行っていた結核である。

結核はかかっても

発生する人としない人がいる。

 

遺伝に関わりがあると調査し 

結核の発症は

遺伝的な性質が重要であると結論づけた。

 

これによってフェアシュアーは

国際的に認められ地位を確立した。

 

 

今度は断種を推し進める。

病気や障害を子孫に受け継がれることを

防ぐ目的から、障害者には不妊を進めていく。

 

世界恐慌が起き、ドイツは財政危機になり

フェアシュアーは

ドイツの障害者の数は20万人であり

それを健常な人に役立てるべきだと

断種法案も考える。

 

本人の同意があれば、不妊手術を認めるという内容だが

法律では禁止されていたので、できなかった。

 

がしかし 

1933年、ヒトラー内閣が成立した。

 

ナチスは 

断種法を成立させた。

フェアシュアーが考えていたものより酷く

強制的な不妊手術が可能という法律だった。

 

ヒトラーはフェアシュアーを評価し出世していく。

フランクフルト大学の所長に就任し

フランクフルトの人たちの遺伝情報を収集し

病気の履歴などの遺伝カードを作成。

断種すべき人を探すためでだった。

 

1945年までに

40万人が強制的に断種させられ

200人に1人という数であった。

 

ナチスはユダヤ人根絶を目指し

フェアシュアーも加担するようになる。

 

ドイツ人とユダヤ人の関係を禁止する法律

血統保護法ができる。

 

でも

ユダヤ人とは誰か?という問題がある。

ドイツ人とユダヤ人との外見の差がなく、

特定する方法を持っていなかった。

 

フェアシュアーはユダヤ人を

科学的に特定する研究に取り掛かかり

ユダヤ人の特徴を調査した。

 

ユダヤ人は

特定の病気にかかわる割合が高いと結論づけ

隔離することが必要だと発表した。

 

そんなとき

フェアシュアーのもとに

期待の新人医師が来た。

ヨーゼフ・メンゲレである。

 

2人で

血液の研究に取り組んでいた。

 

そして人種によって

血液中のタンパク質の違いがあるのではないか?

という研究を行う。

 

大量の血液を入手するために

メンゲレが

アウシュビッツ強制収容所に赴任し

たくさんの血液を集めていく。

 

メンゲレは次第に

血液でだけでなく

内臓や骨格なども集める。

 

戦後、フェアシュアーは

不利となる書類を全て破棄し証拠を隠滅する。

 

フェアシュアーは 

アウシュビッツの出来事を知らなかったと言い

罰金を払ったのみであった。

 

その後、

ミュンスター大学の

人類遺伝研究所の所長となり

ドイツ人類医学協会の会長となる。

 

彼の

死因は交通事故死であった。

 

新聞の追悼記事があり

信仰心があり模範とする人物であり

とても寛容であったという記述。

 

フェアシュアーの死後。

遺伝子の働きがどんどんわかってきた。

 

出生前検査で、

妊婦の血液を調べ、染色体を知り

子供がダウン症なのかわかるようになった。

それを聞き

人工中絶する人も一定数いる。

 

フェアシュアーは親しい友人に

過去のことは過ぎ去ったことだと言い

決して戦時中のことは言わなかった。

 

 

 

生命学者と人類遺伝学者が

スタジオでVTRの感想を言い合う。

 

2人ともとてもショックを受けていたのが

印象的であった。

 

フェアシュアーが裁かれなかった理由。

優生学とか断種は、ナチスが初めてではなく

アメリカが初めてであったため

フェアシュアーを裁こうとすると

自身が優生学を進めていたこともあり

自分が不利になる可能性がある。

 

ロックフェラー財団

ドイツの優生学に資金を提供していたことも

あるという。

  

現代の人類遺伝学では

優生学はタブーとなっているが

果たしてそうなのだろうか?

 

カリフォルニア州では

医師が出生前診断を進めないといけないという。

費用も州が出し

ダウン症の人を少なくすると

医療費が削減できるからという理由だという。

 

夫婦で

健康な子供を持ちたいというのは

当たり前な感情であり

それが悪いことではないと思うが

安易な選択はいけないし

国が強制したりすると優生学となっていく。

 

仮に遺伝子操作をしていっても

世界がこの先どうなっていくのか

わからないため

子孫に対して責任が取れないという問題もある。

 

 

ピマインディアンという先住民族

乏しい食料の中で生きてきた。

 

それが

アメリカの食生活で

肥満や糖尿病になりやすくなってしまった。

 

しかし

世界的に食料危機になっていったとき

ピマインディアンは生き延びやすい

人種であるともいえる。

 

いい遺伝子とは

地球環境によって変わっていくものである。

 

 

ナチス優生学の関わりを見ると

断種法。

血統保護法。など

法律でどんどん

そういったことが推し進められていったことがわかる。

 

日本でも

特定秘密保護法

安保法。

IR推進法など

さまざまな法案が推し進められている。

 

日本の法案が

優生学や反人道的な法律だとは言わないが 

科学者や一部の人たちと

利害関係が一致しているという

共通点があるのかもしれない。

 

番組では直接

相模原障害者施設の事件のことについて

触れてはいなかったが

絶対に制作側は意識していると思う。

 

植松容疑者もフェアシュアーも

罪の意識がなかったという点や 

自分は世の中のためにやっているという

共通点が見て取れる。

 

しかし

それは浅はかな考え方であると思った。

 

なにが劣っていて

なにが優れているのか

遺伝子で決められるものではないし

社会の役に立つかどうか。

財政的に貢献しているかどうか。などで

人の生き死を決めてはいけないと思う。

 

実際に自分は障害者と接する生活はしていない。

しかし、これからどうなるかは誰もわからない。

子供がそうなってしまう可能性もあるし

事故などで自分や親戚がそうなってしまう可能性もある。

 

自分が五体満足で生まれ

今も健康でいれるのは

運が良かったからだと思っている。

 

そういう運という偶然性で

納得できることもあると思った。