野生の思考 第1回 「構造主義」の誕生 を見て
長い間未熟で野蛮なものとして貶められてきた「未開社会の思考」。近代科学からすると全く非合理とみられていたこの思考をレヴィ=ストロースは、「野生の思考」と呼び復権させようとする。「野生の思考」は、非合理などではなく、科学的な思考よりも根源にある人類に普遍的な思考であり、近代科学のほうがむしろ特殊なものだと彼は考える。それを明らかにする方法が「構造主義」というこれまでにない全く新しい方法だ。第一回は、レヴィ=ストロースがどのようにして「構造主義」という方法を手にしたかその背景に迫るとともに、彼が「具体の科学」と呼んだ「野生の思考」とはどういうものかを明らかにする。
フランスの民俗学者。
パリで生まれる。
哲学から民族学に興味を持つ。
ブラジルのサンパウロの大学で教授として働く合間に
現地の先住民族のフィールドワークを行う。
<野生の思考>
現代の人間の思考は、いまいろんなことで制約を受けている。
効率とか計画とかの制約である。
その制約がない先住民族の思考こそが普遍的な思考である。
先住民族でも文化がある。
西洋では歴史を発展させてきたが
先住民族には歴史や発展の思想がない。
<構造主義とは>
自然の中にあるタンポポのかたちと
人間の心は同じ構造ではないか。
共通のコードによって発信者と受信者が
やりとりすることを
コミュニケーションの基本と考えた。
言語の成り立ちとは
自然言語音を聞き、組みわけ、言語を生み出している。
文化も同じように作り出している。
自然から要素を取り出し、組み分け、文化を生み出している。
西洋文化も未開人の文化も同じ成り立ちである。
それが野生の思考である。
<トーテミズム>
先祖が自然界のつながりを持つと考え
体系化している。
ヌエル族の例でいえば
「双子は鳥である」
双子は霊と人間の間にある。
鳥は大地と天の間にある。
つまり同じ位置にある。
「自分たちはこのトーテムの人間だ」という認識。
動物の世界は分類ができやすいが
人間の世界は分類しずらい。
先住民族のトーテムには絵が描かれている。
それは現代でいうところのマークであり信用でもある。