誤謬日記

祈れ、働け、学べ。

100分de名著 エミール 第4回 理想社会のプログラム を見て

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いよいよ成年へと成長し、結婚、社会への貢献といった問題に直面するエミール。恋愛や外国旅行といった体験を通じて、「理想の社会とは何か」という根源的なテーマが浮かび上がってくる。そこには、ほぼ同時期に書かれた「社会契約論」のテーマでもある「自由な社会」の理念の設計プランもかいまみえる。「エミール」は、「一人一人が真理を知る能力をもった人に育ち、正しいことを意志する人に育ってはじめて、全体意志と一般意志が一致する理想社会が実現する」という「社会契約論」のテーマを補完するための「人間論」でもあったのだ。第四回は、「エミール」と「社会契約論」をつなげて読み解くことで、私たちが目指すべき、自由で自律した理想社会がどんなものか、それを実現するには何が必要かという、現代に通じるテーマを考える。

 

 

第五編

青年最後の時期(20歳〜)

 

エミールは家庭教師と

理想の女性を想像し

ソフィーと名付ける。

 

パリの社交界に出かけても

理想の女性に合わない。

 

散歩中に雨が降り

雨宿りさせていたただいた家に

ソフィーという娘がいて、恋仲になる。

 

家庭教師が質問をする。

「ソフィーが死んだらあなたはどうなる?」

エミールは動揺したが

ソフィーは無事である。

 

今のエミールは

人間関係に縛られていて

欲望の奴隷になってしまう。

 

自分が欲しているものに

抵抗できなくなっていないか?

という問い。

 

良心に従わなければならず

自分自身の支配者になることを

学ばないといけない。

 

それが

本当の意味での自由になる。

 

家庭教師は

エミールにソフィーと一旦別れろという。

 

社会と政治を学ぶため

2年間、家庭教師と旅をすることになる。

 

エミールの本のなかに

社会契約論の要約を挿入している。

 

権利・正義・法の正当性は

どこからくるのか?

力は正当性にならない。

抵抗する別の力があれば争いが起きてしまう。

 

なので、約束と合意が正当性になる。

その正当性が社会契約である。

平和共存するため仲間を作り 

一般意志の最高指揮に委ねるということ。

 

社会契約では個人の所有物は

どうなるか? 

 

個人が土地を持っているが

敵が奪いにくる場合がある。

 

共同体、国家、みんなで守る必要があり

そうなると土地の所有は国家のものになる。

使っている側は、管理者となる。

 

全ての権利は

社会契約について成り立つ。

それは個人のよりも、公共性の優先。

 

イギリスの哲学者、ロックは

所有物について

神より与えられたので絶対だという。

 

アメリカはその傾向があり

個人の所有物などを

国が取り上げることについて

激しい抵抗がある。

 

しかし、土地が荒れ果てていても

個人所有では放置しておくしかない。

 

ゴミ屋敷問題も

自治体が管理することになったのと

同じことである。

 

フランスやイタリアでは

私有地をどうするか考えることがあるという。

 

一般意志の最高指揮に委ねるとは

まず、法をもたないといけない。

法は一般意志でないといけない。

 

一般意志は

お互いの考えを確かめ合うこと。

一般意志は

お互いの都合を出し合う中で出てくる。

そうすれば

民主主義や自治が根付いていく。

 

旅を終えたエミールたちは

家庭教師からの

「次は何をするのか?」との問いに

「誰よりも自由に生きるつもりだ」と答える。

 

旅をしてきて社会契約が結ばれている国はなかった。

国はどこでもよかったので

フランスが故郷なのだから

フランスの農村で

ソフィーと農業をしながら

幸せに暮らすようになる。

 

この2人ならば

他者の仲間をおもいやり

活気のある街になると家庭教師は思う。

 

自分の生き方に自信が持て

自分を愛することができる。

だから主張ができる。

それが一般意志を作るうえで重要となる。

 

感想

東浩紀さんが

一般意志2.0という本のなかで

ニコニコ動画のコメントが

一般意志を作るうえで

鍵となるというようなことを言っていた。

 

 

一般意志をつくるためには

おのおのが自分の意見を好き勝手に

言うことで成り立つが

日本人は やっぱり自分勝手な意見を言うのが

苦手な人が多い。

 

しかし、ニコニコ動画の匿名コメントや

ツイッターのハンドルネームアカウントだと

好き勝手言えている。

 

なかにはFacebookやツイッターの実名アカウントで

好き勝手な意見を言う人がいるが

それで、実生活が悪くなった人もいる。

 

東さんは国会中継に

議員さんが匿名コメントを見れる

仕組みを作り、

その意見を目を通して議論すればいいという。

しかし、

その意見に影響される必要もないという。

 

議論の場に、そういった発言が

出現することで

そこに正当性が生まれるのかもしれない。 

 

自分の意見を伝えることは

絶対的に自信が必要である。

 

その自信をつけさせる教育論が

エミールであり

議論の場の自然人を作ることである。

そこから議論の結果の社会人を作ることである。

 

 

エミールには

好きな人ができたときも

人間関係に縛られてはいけないという。

 

それが欲望になってしまい

自ら破滅の道に進むことにもなりかねない。

そうなってしまうのは

自分自身が幸福になっていないからとも言える。